親知らずの抜歯
親知らずとは
親知らずは、手前の歯から数えて8番目に位置する一番奥の大臼歯のことです。
永久歯の中で最後に発育し、「第3大臼歯」や「智歯」とも呼ばれます。
通常、永久歯は15歳頃までに生え揃いますが、親知らずは20歳前後に生えてきます。
この時期は親元を離れることが多いため、「親知らず」と名付けられました。
親知らずは上下左右に1本ずつ計4本ありますが、すべての人に生えているわけではありません。
先天的に存在しない人や、4本揃っていない人もいます。
また、自分では生えていないと思っていても、歯茎の中に埋まっているケースもあります。
親知らずの症状と抜歯について
智歯周囲炎
親知らずが斜めに生えることが多く、歯肉に埋まったまま一部だけが見える場合があります。
一番奥に位置するため、食べカスが溜まりやすく、不衛生な環境になりがちです。
このような状態になると、親知らず周辺の歯肉が炎症を起こし、智歯周囲炎と呼ばれる症状が現れます。
これは、17歳から20歳前後の人によく見られます。
対処法
抗菌薬や鎮痛剤を使用し、歯肉の一部を切除して清潔に保ちます。
炎症が繰り返される場合や親知らずの生え方によっては、抜歯が必要となることがあります。
むし歯
親知らずは歯ブラシの毛先が届きにくく、汚れが溜まりやすいため、むし歯になることが多いです。
対処法
むし歯治療は可能ですが、第二臼歯にむし歯が広がるリスクがある場合は、抜歯を検討することもあります。
嚢胞
親知らずの周辺に嚢胞が形成されることがあります。
無症状の場合もありますが、細菌感染によって顎に痛みや腫れを感じることがあります。
嚢胞内には液体が含まれており、ほとんどは良性ですが、稀に悪性の可能性もあるため、病理検査が必要です。
対処法
親知らずを抜歯し、嚢胞を摘出します。
第二大臼歯の吸収
親知らずが適切に生えず、第二大臼歯に寄りかかるように生える場合、第二大臼歯が親知らずに吸収され、歯根が溶けることがあります。
対処法
親知らずを抜歯しますが、第二大臼歯の歯根吸収が進んでいる場合は、第二大臼歯が将来的に抜歯となる可能性があるため、親知らずを残して第二大臼歯の代わりに補うこともあります。
歯牙移植について
歯の移植治療は、むし歯や歯周病などで失った歯の部位に、自分の別の歯を移し入れる方法です。
生体に優しく、自分の歯の機能を最大限に活かすことができるため、条件が合えば非常に有効な治療法です。
親知らずを使用する場合
親知らずを移植する場合、健康保険が適用されます。
しかし、以下の条件が満たされる必要があります。
年齢制限 | おおむね40歳位まで |
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歯根形態 | 移植する歯の歯根が適切な形状であること |
移植部位の 骨幅 | 移植先の骨の幅が十分であること |
親知らず以外の歯を使用する場合
親知らず以外の歯を移植する場合は、健康保険の適用外となります。
このため、治療費が自己負担になりますので、事前にご了承ください。